(病と祈りと) がんの告知①
告知当日
〈がんなど、重い病の告知について、「死」を見据えて書かれたものは多くないようです。わたしもうろたえました。妻は、毎年の特定健診で知らされました。思いがけなかっただけに、驚きは大きいものでした。妻のほうがもっと大きく衝撃的であったにちがいありません。すぐに生と死を見据えることはできませんでした。
これからが「生き方」「夫婦のあり方」「信仰への姿勢」など、人生の柱となることへ向き合う、そのときです。〉
普段着で病院へ入り 検査着で病院を出る 風荒れて
胸元へ若いお医者のストレート 老いの夫婦へ告知突き刺す
テンインをテンイと聞いて泳ぐ目に 若いドクター姿勢を正す
告知されなお振り向いて部屋を去る 患者の性(さが)の礼儀正しさ
病院の主任看護師声張って「どうぞ大事に、どうか大事に!」
告知受け病院を出る吾が妻の 半歩だけ後半歩だけ前
動揺をウロタエテルと口にせず 病む人・付き添い 患者は夫婦
「治ります?」「はい、治ります!」 呪文のごとく復唱をする
病名に鍵かけたまま会話する 互いの顔を盗み見しつつ
告げられて七日の後の口喧嘩 妻の言葉にイノチ生きてる
がんだって 病気の一つ 顔あげる
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