デクの祈りうた

キリスト教徒の祈りを、詩とエッセイにこめて

2024-06-01から1ヶ月間の記事一覧

(タフな生き物たち)  ゴキブリ

そりゃあ必死でしょうよ、ゴキブリは 好きでゴキブリに生まれたんじゃないよ が ゴキブリの言い分。 悲鳴をあげる妻。 新聞を丸めて追いかける夫。 ころされてたまるか は ゴキブリの言い分。 ニンゲンの隙間を逃げる逃げる。 ヒャーとか ウェーとか ゴキブ…

(漢字考) 「憎」と「増」と

悪が増す まいにち どこかで増していく それにつれて増えひろがる憎しみ 善の心にも巣食う憎しみ あなたのこころを わたしのこころを 気づかぬうちに 憎悪がむしばんでいく いつか来た道を、子どもたちにふたたび歩ませないために ◆言葉に愛を宿したい。 ◆ご…

(漢字考) 「抗」と「杭」と

くずされてしまうかもしれない いまこそ杭(くい)をうちこまないと うばわれてしまうかもしれない いまこそ流れに抗(あらが)わないと あの時代のように あの国のように ―なにが? 赤ちゃんがあたりかまわず泣ける自由が 病んだひとが安心して養生できる平…

(病と祈りと) 妻と夫のつぶやき②

1 妻 しんぞうバクバクの検査前 血圧がまた上がってしまった ああ、白衣を見ると血圧が上がるわたしなの! わが家に重なった肉親の死 それから怖くなったのかもしれない せっかく来たのだから何とか受けないと―大事な胃カメラの検査 2 夫 しんぱいしないで…

(病と祈りと) 妻と夫のつぶやき

1 妻 しっかりできないから まだショボンとしててもいいのよネ あの人はシャキッと立って いざ闘病! の姿勢だけれど わたしは自分を甘やかしたい もうちょっとだけ せめこんでくる夜明けの不安 今は耐えるだけで精一杯なの 2 夫 しっかりしなよと言わない…

(病と祈りと) 患者との隙間ー寄り添う

〈安易に使われ過ぎている「寄り添う」という言葉。これは「埋めたい」という願望を強くもちながら、しかしどうしても相手との間に埋めきれない隙間ができてしまう、ということを、いたみをもって感じ取った者こそが使える言葉でしょう。「寄り添う」という…

(タフな生き物たち)  鯉

銭飲んで錦(にしき)吐き出す池の鯉 お高いそうですね、鯉って 外国からも大勢 買いつけに来るんですってね きれいな魚です、たしかに 鯉こくっていう滋味に富んだ食べ方もありますが 食べ物より見せ物そのほうがお金になるんですね、いまどきは そういえば …

誕生日

1 六歳になるんだよ! あと一週間なんだよ! ―孫娘が電話口ではずんでいる そうか、誕生日ってゴムまりみたいにはずむんだ! 2 ぼくのはじめての記憶は五歳の夜 チチとハハの別れ話を寝床できいた夜 その後、誕生日は何度もきたけれど 弾んだ記憶はない み…

(聖書から) 名を呼ぶ②

恐れるな。わたしがあなたを贖(あがな)ったからだ。わたしはあなたの名を呼んだ。あなたは、わたしのもの。……わたしの目には、あなたは高価で尊い。わたしはあなたを愛している。 (旧約聖書「イザヤ書」四十三章) 1 学校で出席簿順に名前を呼ばれるときド…

(タフな生き物たち)  ハイエナ

小学校の卒業写真ににこやかな顔がならぶ どれも自信ありげな瞳ばかり おれの眼は上目づかい 叱られたばかりのような淋しい眼 おれの好きなハイエナ そのミジメさがたまらない ぞくぞくするほどのカッコわるさ おれそっくり 顔をみたひとが ああ清々(すがす…

(タフな生き物たち)  猫と鳩と

クウクウと猫の餌(え)喰らう鳩の朝 朝 近所の駐車場 ムラガル という言葉がぴったり おばあちゃんが野良猫たちへ餌を置く 四五匹の猫たち ありがとうの挨拶もなしにガツガツ やってきた鳩の群れ 十羽かそこら お邪魔しますの挨拶もなしにくちばしを突き出す …

(病と祈りと) がんの告知④

〈がんなど、重い病の告知について、「死」を見据えて書かれたものは多くないようです。わたしもうろたえました。妻は、毎年の特定健診で知らされました。思いがけなかっただけに、驚きは大きいものでした。妻のほうがもっと大きく衝撃的であったにちがいあ…

(病と祈りと) がんの告知③

〈がんなど、重い病の告知について、「死」を見据えて書かれたものは多くないようです。わたしもうろたえました。妻は、毎年の特定健診で知らされました。思いがけなかっただけに、驚きは大きいものでした。妻のほうがもっと大きく衝撃的であったにちがいあ…

(聖書から) 名を呼ぶ①

恐れるな。わたしがあなたを贖(あがな)ったからだ。わたしはあなたの名を呼んだ。あなたは、わたしのもの。 ……わたしの目には、あなたは高価で尊い。わたしはあなたを愛している。 (旧約聖書「イザヤ書」四十三章) 1 子どものいのちは親のもの と大きな誤…

(病と祈りと) がんの告知②

〈がんなど、重い病の告知について、「死」を見据えて書かれたものは多くないようです。わたしもうろたえました。妻は、毎年の特定健診で知らされました。思いがけなかっただけに、驚きは大きいものでした。妻のほうがもっと大きく衝撃的であったにちがいあ…

(病と祈りと) がんの告知①

告知当日 〈がんなど、重い病の告知について、「死」を見据えて書かれたものは多くないようです。わたしもうろたえました。妻は、毎年の特定健診で知らされました。思いがけなかっただけに、驚きは大きいものでした。妻のほうがもっと大きく衝撃的であったに…

(タフな生き物たち)  テントウムシのファイト

―よごれたぞうきんを喰ってでも生きてやる そんなファイトがみなぎっていた もぞもぞもぞもぞと動く あんな小さな体に そのテントウムシを 一歳半の孫がねらった ヒョイとつまんで そのまま 口に入れてしまった ああテントウムシよ! おまえを喰らった奴がに…

(タフな生き物たち)  蛇の眼

怒りが爆発すると眼が蛇のようになる といわれた 頭は沸騰しているのに 眼はぞっとするほど冷たいと その眼を写真に撮って見せてあげようか ともいわれた 怒りにふり回されながら 己の正しさだけは手放さない そのエゴの眼を 自画像を描いたゴッホ 彼はじぶ…

(タフな生き物たち)  みみず

1 どこまでも進みたいのか みみず 砂まみれになっても 犬に踏みつぶされても 陽に焦がされても 正直一途な足跡をのこして 2 頭はどこだいときいたら あわてて匍匐(ほふく)前進(ぜんしん)をした 太いの 細いの 長いの 短いの―みんな頭をもっている いったい…

(聖書から)  食事の感謝

かれらが陸地に上がると、そこには炭火がおこされていて、その上には魚があり、またパンがあるのが見えた。……イエスは彼らに言われた。「さあ、朝の食事をしなさい。」……イエスは来てパンを取り、彼らにお与えになった。また、魚も同じようにされた。 (新約…

(聖書から)  悩んでもいいんだ②

まことに、主は悩む者の悩みをさげすむことなく、いとうことなく、御顔を隠されもしなかった。むしろ、彼が助けを叫び求めたとき、聞いてくださった。 (旧約聖書「詩篇」二十二篇) あすのための心配は無用です。あすのことはあすが心配します。労苦はその…

(聖書から)  悩んでもいいんだ

まことに、主は悩む者の悩みをさげすむことなく、いとうことなく、御顔を隠されもしなかった。むしろ、彼が助けを叫び求めたとき、聞いてくださった。 (旧約聖書「詩篇」二十二篇) あすのための心配は無用です。あすのことはあすが心配します。労苦はその…

よごれもの

1 傷つくことを知っていて何故そんなひどいことを言うの と妻が泣いた 昨日のよろこびを 今日の不穏な心で消してしまわないで 美しいものが好きなはずなのに どうして醜いところに目をむけるの 自分の心ばかりのぞかないで 神さまの澄んだ心をのぞいてみて …

(聖書から)  良くなりたいか

その後、ユダヤ人の祭りがあったので、イエスはエルサレムに上られた。 エルサレムには羊の門の傍らに、ヘブライ語で「ベトザタ」と呼ばれる池があり、そこには五つの回廊があった。 この回廊には、病気の人、目の見えない人、足の不自由な人、体の麻痺した…

(しあわせのうた) 幸せをこわがらないで

1 ​ ​し​あわせは長くつづかない きみはそう呟く、臆病な眼で​あ​とで悔やむのだから期待しないほうが傷が小さい と​わ​たしもかつて臆病だった 壊れるのが怖くて自分で壊してさえきた​せ​いなる方が「恐れることはない」 そう言って両手を広げてくださるま…

出直せばいい

背丈より高いところに手を伸ばしたので届かなかった 自信をなくしちゃった とつぶやいた ―背伸びはできなくても かがむことならできるでしょう そこからまた出直せばと だれかが背中をさすってくれた ●ご訪問ありがとうございます。 ランキング参加中キリス…